天然精油を用いた溶剤臭の感覚的消臭効果の検討

摘要

近年、生活の質の向上にともない、悪臭苦情件の推移とその内訳が変化してきており作業環境における悪臭対策のニーズも高まっている。たとえば作業環境中に存在する悪臭物質のトルエンは、健康影響に関する基準値として許容濃度や管理濃度が設定されている。しかし、これらの基準値は満たしている場合でもそのにおいに対する不快感が高く、快適性の観点から、作業環境としての臭気対策の必要性がある状況が存在する。作業現場のような空間に存在する広範囲に渡る不快感を伴う臭気に対しては化学的消臭法、物理的消臭法、生物的消臭法よりも感覚的消臭法が有効であると考えられる。そこで、本研究では実際の作業環境でも使用可能な消臭方法を模索し、基礎データを収集することを目的として、トルエンを対象として天然精油を用いた溶剤臭の感覚的消臭効果の検討を行った。