RC造建築物の地震時損傷評価③RC造建築物の地震後の機能維持性•機能回徹の評価を目的とした耐損傷性能評価

摘要

1995年兵庫県南部地震では，想定をはるかに超える強烈な地震動によつて多数の建築物が倒壊しました。多くの人命が失われただけでなく，構造部材•非構造部材•設備機器等に大きな損傷が生じ，「すまい」としての機能が失われ避難所など自宅外での長期の生活を強いられる例が多く見受けられました。2005年に発生した福岡県西方沖地震では，柱•梁などの構造部材は無被害であつたものの，非構造壁に生じたひび割れや，ドアが変形によって開閉不能になるなどの被害が生じ,被災後の継続使用が困難となる事例が発生しました。また，2016年熊本地震では，4月14日午後9時と16日午前1時の2度，震度7の地震が発生し，2回目の地震から3日後の19日に避難生活をしていた女性がェコノミー症候群で死亡，翌20日にはェコノミー症候群と心不全で「関連死11人」そして，25日にはェコノミー症候群の重症者が35名に上っていることが判明しました。このことは建築物の機能不全が人命に関わる重大事項であることを示しています。