超高層RC技術およびPCaに関する技術開発-構造設計-監理技術の伝承と今後の取組み

摘要

筆者が所属する戸田建設㈱構造設計部では，1984年から材料の高強度化，免震·制振化およびプレキャスト(以下，PCa)化に重点を置いた超高層RC技術である「Super HRC(スーパー·ェイチアールシー)システム」(Super HRCシステム：Super High performance RC high-rise housing System)の開発を進め，これまで約40棟の超高層RC住宅に適用してきた。超高層RC住宅では，安心·安全な建物であることに加え，様々な広さや間取りの住戸を自由に配置可能な可変性に富む，フレキシブルな構造が求められている。更に，長寿命で高品質な建物を短工期で構築することも重要なニーズである。戸田建設㈱構造設計部では，これらのニーズに高いレベルで応えるため，構造設計者が「技術開発」に携わり，その開発した技術を効果的に用いて「設計」し，設計した建物の品質を確実に担保するための「工事監理」まで行うことが重要であると考え，この「技術開発」，「設計」，「工事監理」を一貫して行うことができる構造設計者の育成を行ってきた。特に近年においては従来までの実務を通じた育成の他，入部1年目～2年目の部員を対象とした若手部員教育(2～3回/月程度の頻度で実施)や，30歳前後の若手社員を対象とした支店設計部へのローテーション配属等も実施し，構造設計者の早期育成に努めている。筆者においては，入社後1年の現場研修期間を経て2007年から構造設計部に所属し，主に実務を通じた教育·育成を受けてきた。本稿では，この13年問において諸先輩方から実務を通じて伝承した，超高層RC技術およびPCa技術について，「技術開発」，「設計」，「工事監理」の3項目に分けて紹介するとともに，今後の取組みについて考えたい。