働き方のジェンダー格差

摘要

働き方を考える場合、どこで、どういう仕事を、どう行うのか、という三つの側面がある。どこでというと、働く場所、もっと広くいうと労働市場における場所、をさす。家で内職をして働くのか、自営業として生産の場と消費の場が隣接した環境のもとで働くのか、といった質問がここででてくるし、また労働市場においては、中核的な場所か周辺的な場所か、といった問いがでてくる。近年、家とは離れた場所で雇用されるという設定で働くことが大半となった。また、労働市場も近代経済学が前提とするような一様な労働市場が存在するわけではない。どういう仕事かというのは職種によって代表され、どの職業に就いているのかは、男女によって異なる。さらに、仕事をどう遂行しているのか、これが大きくいえば働き方になるのだが、ここにも男女の違いがある。例えば、日本の雇用は、労働者が同じ職場で、長時間働くことを厭わず、それを忠誠心として賞賛もされたが、ここで想定されていたのは男性労働者であった。女性は結婚までの腰掛としての仕事であって、一生仕事を続けていくのは「職業婦人」として別カテゴリーで位置づけられてきた。男女による違いは、望ましさや良し悪しの価値が介在して格差を生んできた。本稿では、労働市場における男女差を、ジェンダー格差の観点から議論してみたい。