歴史の中の統計学

摘要

確率論、すなわち偶然現象に関する数学的理論は、前に述べたように「賭け」chance gameに関する議論から生まれた。3次方程式の解の公式の発見者として知られている(実は彼はそれをタルターリアから盗んだものだともいわれているが)ジロラーモ•カルダーノ(Girolamo Cardano 1501～1576年)は自らも賭博打ちであったが、「さいころ遊びの男」という本を書いた(その本は長く出版されなかった)。彼はサイコロを3回投げたときの216通りの目の出方が等しい確率を持つことを前提にして、いろいろな場合の(後の言葉を使えば)確率を計算した。しかし彼は「1個のサイコロを投げて6が出る確率を五分五分にするには何回投げればよいかという問題に対して、「1回投げたときの確率が1/6であるとすれば、2回で1/6×2=1/3、3回投げれば1/6×3=1/2となる」とする間違った答えを出した。