公的統計は役に立つし、使いやすい

摘要

先月号、今月号と、特集テーマは「統計は役に立つ」である。統計と一口に言っても分野が広いが、ここでは公的統計に限って話をする。公的統計とは政府統計と考えてもほぼ同義語になると思う。したがって、公的統計が政府の行政施策立案•遂行のための基礎資料として利用され、また法令で引用され、役に立つのは当然である。しかし、公的統計の中には、行政サイドだけでなく、同時に民間の企業や研究者の方々などにも利用され、役に立つものもある。昔、インターネットなどが普及しておらず、統計情報の流通は報告書など紙媒体によるしかなかった時代には、行政が統計情報を占有し、官が民に対して優位性を持っていた時代もあったと思われる。しかし、最近では、ネットーク、ICTの進展、オープンデータの進展などにより、官庁統計へのアクセスでは官民イコールフッティングの状況になっている。この文章では、前半で、公的統計は役に立つ、という視点で、まず公的統計の性格を考え、次にいくつかの公的統計(統計調査結果)について、行政利用を中心に見ていく。次に、公的統計の民間利用、ミクロデータでの利用を見る。後半では、公的統計は使いやすい、という視点で、公的統計のポータルサイト、提供方法の高度化方法、などを見る。