「豊かさ」の指標と地域の課題: 地域の人口減少策は豊かさを向上させるのか

摘要

「豊かさ」を定義し、それを定量的に把握する ことは困難なことである。いろいろと問題点は指摘されるが、所得の増加 がェンゲル係数の低下にみられるような生活水準の向上を促すとして、国内総生産（GDP)や県 民経済計算（GRP)が豊かさを測る1つの重要な 指標として用いられている。このため、GDPや GRPの増加がより生活水準を高めるとして、経 済成長率が政策目標とされている。特に、近年は 「長期停滞」と指摘されるような経済状況の中で、 地域は企業立地や人口動態（人口減少や高齢化） 等から経済的な格差が拡大する傾向にある。こう した格差を計測して、その方策を考える場合にも GDPやGRPなど国民経済計算の体系を基とする 諸統計で定量的に計測されている。