枠組壁工法床上への乾式二重床の適用

摘要

枠組壁工法床に乾式二重床を施工した場合の「際根太の仕様の違い」や「幅木の空気抜きの有無」,「枠組壁工法床の根太と乾式二重床の支持脚の位置関係」,乾式二重床面材部分の駆動点インピーダンス向上について実験的検討を行い以下の点が明らかになった.1.在来固定際根太及び防振際根太を用いた場合の床衝撃音レベル差を比較した結果，どちらも空気抜きがない場合に，在来固定際根太の方が床衝撃音レベル差が大きくなった.2.幅木の空気抜きの有無による床衝撃音レベル差の比較を行い，タイヤ衝撃源では空気抜きの有無での差は小さいが，ゴムボール衝擎源ではその差が大きくなった.3.乾式二重床の支持脚位置は枠組壁工法床の根太上に一致させることにより250Hz帯域以上において床衝撃音レベル差が大きくなった.4.本項で施工した乾式二重床構成の場合，タイヤ衝撃源とゴムボール衝擎源のどちらを用いた場合においても，基本床の駆動点インピーダンスが4.4×10~4kg/s(計算値)程度の床構造に対し，乾式二重床構造面材部分の駆動点インピーダンスを2.1×10~3kg/sから6.7×10~3kg/sとすることで63Hz带域において10dB以上の床衝撃音レベル差が得られた.5.ゴムボール衝撃源で加振した場合の最大A特性床衝撃音レベルは，面密度が80kg/m~2で計lldBの低減量が得られた.現在.木造共同住宅の重量床衝撃音遮断性能を向上する工法として.乾式二重床は最も有効な工法の一つと考える•.性能に加え.これまで下階天井などに施工していた配管を住戸内に収めることが可能となるなどメリットは多い.なお，以上の結果は，枠組壁工法床の仕様にも依存するものと考えられる.従って,様々な仕様の枠組壁工法床への適用を図るためには，今後，更に実験を重ね，データを蓄積する必要がある.また，枠組壁工法床のみならず木造在来構法床へ乾式二重床構造を施工した場合に性能を確保する方法，室形状が変化した場合の床や天井の固有周波数の影響などについて検討していく必要がある.