長野の水環境の現状と保全の取り組み

摘要

平成4年，長野県は全国に先駆けて，長野県水環境保全条例を制定した。当時はバブル絶頂期で，水道水源地域の上流にゴルフ場を始めとしたリゾート施設の開発のほか，民間の廃棄物最終処分場の建設計画が数多く持ち上がり，農薬や汚染水による水質汚染の不安の高まりから，条例制定の直接請求があり，水環境保全条例の制定に至った。この条例に基づき，とくに必要な地域を「水道水源保全地区」として指定することにより開発規制を行うほか，長野県は主要な1級水系最上流に位置する源流域であり，清らかで豊かな水に恵まれていることから，「長野県水環境保全総合計画」を策定し，河川，湖沼および地下水の水質保全を図ることにより，水質の面で一定の成果を収めてきた。