島根の水環境の現状と保全の取り組み

摘要

国宝松江城を囲む堀川を気軽に小舟で巡れるなど，水の 都として名高い松江市を県都とする島根県には，水質日本 一となったことのある高津川（益田市，津和野町，吉賀町） や，ラムサール条約に登録され多くの水鳥が飛来する宍道 湖（松江市，出雲市）と中海（松江市，安来市）などの多 様な水辺環境が形成され，地域住民に潤いと安らぎを提供 している。また，県内各地には，環境省の名水百選にも選 ばれた「鷹入の滝（安来市)」や「壇鏡の滝（隠岐の島町)」 をはじめとした「名水」や，県内外の方々が訪れる海水 浴場があり，地域のかけがえのない財産となっている。家庭や事業所での水環境を保全する取り組みにより， 全調査地点においてカドミゥムなど人の健康の保護に関 する環境基準（健康項目）を達成しており，また調査地点の大半において生活環境の保全に関する環境基準（生 活環境項目）も達成しており，県内の水環境は概ね良好 に保たれているが，湖沼については，全国の多くの湖沼 と同様，各種対策にもかかわらず環境基準が達成されて いない（図1)。