原発事故被害を伝えていくために

摘要

「これほどひどい原発事故を起こした大人たちは，どうやつて責任をとるのか。」東京電力福島第一原子力発電所事故発生直後の4月，大学の教壇に立った筆者は，例年とは異なる学生たちの様子から，大人たちは果たして原発事故に向き合うことができるのか，と問われているように感じた。大学の所在する栃木県は福島県に隣接し，登録されているだけでも3000人近くの避難者を福島県から受け入れていた~(*1)。学生のなかにも，本人や家族が避難者となった者があった。さらに栃木県も放射性ヨウ素やセシウムによる汚染に見舞われたため，原発事故は他人事ではなかつたのである。教員有志が始めた福島県からの避難者支援活動にも学生たちが積極的に参加し，自主的な活動を始めるようになった。