ウラン化合物超伝導前駆状態の電子ひずみを原子レベルで測定: 原子力機構などNMR法用いて成功

摘要

日本原子力研究開発機構先端基礎研究センター重元素系固体物理研究グループの神戸振作ダループリーダーらは、米国ミシガン大学のRussell Walstedt教授と共同で、ウラン化合物超伝導体(URu_2 Si_2)において極低温で現れる電子状態のひずみを原子レベルで精密に測定することに成功した。このウラン化台物超伝導体には、極低温(17.5K)のある領域で"未知の状態"が現れる。超伝導転移がさらに低温(2K)で起きるため、この未知の状態は、超伝導前駆状態と考えられている。また、この化合物の電子状態は、通常の状態では4回対称(回転対称性とは、ある軸を中心に周りを回転させると不変となる性質で、360度回転させると重なるものをn回対称という。4回対称は90度、2回対称は180度回転させると重なる図形)だが、未知の状態への転移により2回対称にひずむことが報告されている。この2回対称状態を知ることが未知の状態解明へのカギとなっていた。