ネイチャー★ハイライト

摘要

●行動：アリのコロニーにおける集団的抑制行動アリのコロニーでは、選択圧に対する集団的行動がみられることがわかった。この研究は、採餌の集団的調節と収穫アリのコロニーでの繁殖成功が関連していることを明らかにしている。この観察結果は、アリのコロニーが単一の「超生物体」として作用しうるという考え方を裏付けている。収穫アリ(Pogonomyrmex barbatus)は、砂漠で餌の種子を探すが、長期間、暑さにさらされると死ぬ恐れがあるため、この採餌行動は高いリスクを伴う場合がある。D.Gordonは今回、収穫アリのコロニーの長期観察を行い、このアリが、屋外での採餌行動における犠牲者の数を抑えつつ、十分な量の食料を収集することのプレッシャーにどのように対処するのかを明らかにした。Gordonは、激しい採餌行動を行う収穫アリのコロニーではアリの寿命が短く、その一方で、最も成功度の高いコロニーでは、乾燥期の採餌行動を見合わせて、条件が改善する時機を待つとしている。この抑制という形質は、娘コロニーにも伝えられており、まさにコロニーレベルの形質ととらえることができる。Gordonは、還択的な採餌個体は、活発な採餌個体より多量の水を節約する可能性が高く、これによってコロニーにおける生存と生殖の可能性が増進するという考え方を提唱している。