ピロリ菌プロトン感受性 尿素チャンネルの構造

摘要

胃内病原菌であるピロリ菌由来のプロトン感受性尿素チャンネルの構造について、カリフォルニア大ロサンゼルス校のD・Strugatsky博士らが報告している。(ネイチャー7431号)胃炎と胃潰瘍を引き起こし、胃腺ガンの発症率を上昇させるピロリ菌には、世界人口のほぼ半分が慢性感染している。ピロリ菌の内膜にあるプロトン感受性尿素チャンネルHPUrelは、胃の酸性環境内での生存に必須である。このチャンネルは中性PHで閉じ、酸性PHで開いて、尿素が細胞質内にあるウレアーゼに速やかに接近できるようにしている。ウレアーゼは、アンモニアと二酸化炭素を生成して流入するプロトンを中和し、それによって緩衝作用を発揮してPH2以下の胃液中でも、ペリプラズムのPHを約6.1に維持している。米国の科学者らはこのほど、HPUrelの構造を明らかにした。これによって、規則正しく並んだ脂質からなる中央の2重層の栓を取り囲む輪状の6量体を形成している6個のプロトマーが判明した。