ネイチャー★ハイライト

摘要

ビッグバンから約8億8千万年後に相当する形成途上の大質量スターバースト銀河が発見された。この発見は、宇宙の歴史上、どれだけ早い時期にこうした銀河の形成に適した条件が整ったのかを判定するうえで役立つ。現在の大質量早期型銀河(楕円銀河とレンズ状銀河)は、初期の段階で、非常に大きな質量の暗黒物質ハロー中でのダストに覆われた強力なスターバーストを介して恒星質量と重元素の大部分を成長させていった可能性が高い。このような大質量のスターバーストの前駆天体が、どれほど早期に存在していたのかは解明されていなかった。D.Riechersらは今回、積方偏移z=6.34の位置(宇宙の年齢が現在のわずか16分の1であった頃)に大質量のスターバースト銀河を同定し、この問題に取り組む際に役立つデータをもたらした。その測定結果によれば、このスターバースト銀河には太陽質量の1000億倍のガスが含まれており、“最大のスターバースト”では、天の川銀河の2000倍以上の速度でガスが星に転換されていた。今回の研究で得られた知見は、初期宇宙において極端なスターバーストによって大質量銀河が形成されたとする学説と一致している。(4月18日号)。