ネイチャー★ハイライト

摘要

このほど発見されたstrashilidは、謎に包まれたジュラ紀の昆虫化石であり、羽毛恐竜の寄生虫だとされてきたが、それは誤りであるとする見解が示された。この報告では、それが実は、水生のハエか水陸両生のハエであったという劇的な再解釈が示されている。また、オスの成体に幼虫段階の特徴の一部が保持されていることも判明しており、水中でも生息できたのは、そのおかげである可能性が極めて高い。Strashilid分類群の昆虫は、ジュラ紀に生存し、数少ないデータをもとにして羽毛恐竜に寄生するノミに似た寄生虫であると推測されていた。例えば、ペンチのような脚は、'この昆虫が宿主にしがみつくうえで役立つと考えられていた。D.Huangらは今回、新たな標本を用いて解析を行い、オスだけがこの後脚構造を持っていることを発見、この脚がメスを捕まえるために使われていたという考え方を提唱している。また、成体のオスには、幼虫期の腹部呼吸鰓があるが、このことは、水中で生息していたことを示しており、独特な形式の幼形保有(生殖的に成熟した生物に若年期の特徴が残っていること)の存在も示している。Huangらは、strashilidが高度に特殊化した有翅昆虫で、羽化直後に翅を落とし、水中に移動して交尾活動をしていたと結論づけている。(電子版)