男性の自殺リスク「格差拡大」増加する「管理職」「東北地方」

摘要

岡山大学大学院医歯薬総合研究科の鈴木越治助教らと広島大学、ハーバード大学の共同研究グループはこのほど、我が国における1975～2005年の自殺リスクの推移を評価、男性では専門職や管理職等でリスクが著しく増加するなど社会的格差が広がる一方、女性では低下傾向にあることを明らかにした。また、男性においては地理的格差が95年以降顕著に拡大(リスクが最も高い秋田県と最も低い奈良県で2.45倍の差)していることも判明した。自殺は我が国の公衆衛生における重要な課題の1つとなっている。国内外のこれまでの研究によって、景気悪化と自殺者数増加に関連があることが示唆されているが、日本における自殺格差が社会的あるいは地理的にどのような変遷をたどっているのかについては明らかにされていなかった。今回の研究では、人口動態統計や国勢調査に基づいて、25歳から64歳の全人口を対象に75～05年までの30年間にわたって自殺リスク格差の推移を5年ごとに分析した。