ネイチャー★ハイライト

摘要

銀河の運動を用いて構築された近傍宇宙のマップが示され、このマップを用いて、地球が属する超銀河団(「ラニアケア」と命名された)の境界が突き止められた。「ラニアケア」とは、ハワイ語で「広大な天空」を意味する。銀河は、集団を形成しているが、その一方で、銀河が存在しない超空洞という広大な領域がある。数多くの銀河がひしめく広大な領域は超銀河団と呼ばれる。超銀河団を明確に定めることは難しく、とくにその内部から解明することは困難である。宇宙における物質の分布を調べ、超銀河団を同定する独立した方法の1つとして、銀河の運動を調べる方法がある。B.Tullyらは今回、銀河の運動に関する最大のカタログであるCosmicflows-2を用いて、銀河の分布を示した大規模なマップを構築し、銀河が移動する際にしたがっている宇宙の流れが分岐する地点を明らかにした。そして、Tullyらはこのマップを利用して、天の川銀河が位置する超銀河団(ラニアケア)の境界を決定した。この超銀河団は、乙女座銀河団と定規座-うみへび座-ケンタウルス座(別名グレート•アトラクター)も含んでおり、シャプレー集団へ向かう流れにある。