ネイチャー★ハイライト

摘要

偶像化された初期鳥類である始祖鳥の化石標本が新たに発見された。この化石にほ、大量の羽毛が保存されており、後肢には"ズボン"のように羽毛が生えている。どれは、羽毛の進化と飛翔の起源を解明するうえで手がかりとなる。この10年閭に数多くの羽毛恐竜と初期鳥類の化石が発見されたことで、始祖鳥の進化的状況に関する解明が進んだ。しかし、これまでに見つかった始祖鳥の化石標本からは、その羽毛についての情報がほとんど得られていない。O.Rauhutらは今回、ドイツで新たに発見された始祖鳥の化石標本(1861年以降で11番目に発見された化石標本)について記述した論文を発表した。この化石標本からは、全身(翼、尾、胴体、足)を覆った大羽様の羽毛(羽柄に似た羽毛)が良好な保存状態で見つかった。後肢の上部には対称的な長い羽毛が生えており、下部には短い羽毛が生えていた。この観察結果は、鳥類の起源と進化における羽毛の分布が、これまで考えられていた以上に複雑なことを示唆している。他の初期鳥類と羽毛恐竜における大羽様の羽毛の分布を解析した結果からは、こうした羽毛が飛翔以外の機能的状況(誇示と関係している可能性が極めて高い)において進化し、後に空力的機能に利用されたことが示唆されている。