氷表面の疑似液体層 拳動解明 凸部の位置変動で再結晶化繰り返す

摘要

氷の表面は、融点以下の温度でも融解し、薄い液体類似の層を成す。この層は下部の氷に影響されるため、通常の水とは異なる性質を持ち「疑似液体層」(QLL)とよばれている。名古屋工業大学大学院工学研究科創成シミュレーション工学専攻の鍜島康裕氏(大学院生)、尾形修司教授の研究グループは、131万7千6百個の分子から成る氷(Ih相)の大規模シミュレーションを最新のスパコンを用いて実行した。その結果、①疑似液体層に凹凸があり、凸状(SA程度の厚さの液滴状)の疑似液体層(以下凸部)の位置が時間経過とともに変動すること②融点直下では凸部が1分子層厚のシート状の疑似液体層の上に乗っていること③比較的低温で凸部が氷の上に直に乗っている際は凸部と凸部の狭間の露出している部分は融解するが、その部分は凸部の位置変動に伴って覆われると容易に再結晶化することーを発見した。