「標本採集は引き続き重要」自然史研究者123人が反論

摘要

生物多様性の研究に必要不可欠なツールである"標本採集"について、Science4月18日号に掲載された文章が議論になっている。アリゾナ州立大のベン•A•ミンティア氏ら4人による「標本採集は種の絶滅に重大な影響を及ぼしており、生物多様性の記録は写真等で十分に行える」との主張が掲載された。その例として、オオウミガラスやサボテンフクロウ等を例にあげている。ここでは、採集が多数の種に脅威を与えており、記録の代替としては写真撮影や録音、生物を殺さないDNA解析で十分としている。この主張に対して同誌5月23日号では、カリフォルニア科学アカデミーのルイズ•A•ロチャ氏ら世界66研究機関の自然史研究者123人が標本採集の重要性を訴える意見を発表した。国立科学博物館(かはく)の動物研究部脊椎動物研究ダループの篠原現人研究主幹、松浦啓一名誉研究員らも共同著者として参加している。篠原氏は「ミンティア氏ら4人は、生物分類の専門家ではなく、近代的な標本採集のマナーを知らなかったと考えられます。生物多様性の解明を遅らせる思慮の浅い見解であるといわざるを得ません」と話す。