難治性皮膚潰瘍治療薬開発めざす

摘要

大阪大学大学院医学系研究科の森下竜一寄附講座教授、冨岡英樹院生、中神啓徳寄附講座教授、金田安史教授らの研究グループはこのほど、アンジェスMGとの共同研究で、難治性皮膚瀆瘍治療薬の開発を目的に、創傷治癒効果に加えて抗菌活性を併せ持つ20残基の新たなぺプチド（SR-0379)の創製に成功した。創に対する治療法として、組織再生を誘導するには創を乾かすことのない湿潤環境が最適であることから、創傷被覆材などを用いた湿潤療法が提唱されている。しかしその一方で、創部では皮膚のバリアー機構が破綻しているために細菌が繁殖することが多く、創の治りに関与しない汚染•コロニゼーションの状態であるか、あるいは創の治癒を遅延させる感染の状態であるかを正確に見極めて適切な治療を施す必要がある。創に対しての感染治療においては、消毒剤は傷修復を遅らせてしまうこと、また、抗生剤の長期使用は耐性菌を増やすという問題点があるため注意を要する。