ネイチャー★ハイライト

摘要

準惑星の冥王星の表面に「スプートニク平原」という直径約1000キメーロトルのハート型の盆地が観測されたが、2つの独立した研究で、スプートニク平原の起源についての考えが示されている。これらは、スプートニク平原が氷で満たされているために冥王星が向きを変え、地殼內に亀裂と張力が生じており、このことは表面下に海洋が存在していることを指し示しているとされる。J.Keaneの研究チームは、スプートニク平原の現在位置が潮汐力によって決まったという考えを提唱しており、スプートニク平原が氷で満たされているために冥王星とカロンの潮汐相互作用が変化して冥王星の向きが変わったと推測している。Keaneらのモデルは、冥王星の向きが変わると地殻に応力がかかって断層網が形成され、峡谷や山脈が生まれたことを示している。一方、F.Nimmoの研究チームも冥王星が向きを変えたと推測されることの意味台いについて検討している。Nimmoらは、スプートニク平原の現在位置を潮汐力で説明できる点には賛成しているが、この過程が起こるためには冥王星の表面下に海洋が存在している必要があるという考えを示している。まとめると、この2つの研究は、スプートニク平原の形成原因とスプートニク平原によって冥王星がどのように形作られたのかという点に関して新たな手掛かりをもたらしていると言える。