物の幹細胞操作、根に自分の巢つくらせる寄生性線虫の戦略判明

摘要

植物寄生性線虫は害虫の一種で、農作物の根に寄生して根こぶを作ることで、植物から栄養を奪う。一度発生するとその畑では数年間、作物を育てることができなくなるため、年間数十兆円の損害を世界の農業に与えているが、根本的な対抗策がなく、新たな品種や農薬の開発が求められている。熊本大学先端科学研究部の澤進一郎教授らは、植物寄生性線虫に寄生された植物の反応を分析した結果、寄生によって幹細胞が活性化することで根こぶを形成していることを明らかにした。つまり、植物寄生性線虫は、植物の幹細胞を巧みに操り、根に自分の巣をつくらせていたのだ。今回の成果をベースに品種改良などで線虫被害の軽減につながることが期待される。Flontiers in Plant Scienceに13日掲載された。