重力波検出器の感度向上へ

摘要

室温における可聴周波数帯域の量子反作用の測定について、ルイジアナ州立大学のJ.Cripe氏らが報告している。（ネイチャ17752号）量子力学は、連続測定の精度に基本的な限界を課す。ハイゼンベルクの不確定性原理では、あるオブザーバブル（例えば位置）の測定精度が高くなると、反作用によってその共役変数（例えば運動量）の不確定性が増大するとしている。干渉計重力波検出器では、レーザー出力が大きいほど、ショット雑音（レーザーの量子性によって生じる光子計数誤差）によって生じる位置不確定性が小さくなるが、これは必ず量子輻射圧雑音（QRPN）の形での反作用という代償がある。AdvancedLIGO、YIRGO3、KAGRAといった重力波検出器は、いったん設計感度に達すると、10ー100Hzの周波数でQRPNによって制限されることになる。QRPNを減らして重力波検出器の感度を改善する提案は幾つかあるが、これまでそうしたアイデアを実験的に検証できるプラットフォームはなかった。