これからの100年に向けた大河津分水路の治水対策: 大河津分水路は2022年で通水から100年

摘要

大河津分水路は、信濃川水系信濃川の新潟県燕市付近より分派し、同長岡市の寺泊付近で日本海に注ぐ、全長約10㎞²の人工河川である。大河津分水路の工事は、明治29年（1896)に発生し越後平野の広範囲に甚大な浸水被害をもたらした大洪水「横田切れ」を契機に、明治42年（1907)より工事に着手し、イギリスやドイッから輸入した当時の最新の大型土木機械を使用し、延べ約1,000万人の人々のカが結集され、今から約100年前の大正11年（1922)に通水した。しかしながら、通水からわずか5年後、大河津分水路への流量を調節する自在堰が急激な河床低下により陥没したことから、河床安定性を確保するための第二床固をはじめとする床止め群、及び自在堰に代わる施設としての大河津可動堰の整備からなる「信濃川補修工事」が昭和6年(1931)に完成し、ほぼ現在の大河津分水路の姿となった。