実測に基づく鉄道構造物の減衰特性の概略評価

摘要

鉄道構造物の減衰特性については，計測事例が少ないことや減衰の発生要因が複雑であるために，十分な評価手法が確立されていません。そこで本研究では，構造型式や地盤条件の異なる多数の鉄道構造物で衝撃振動試験および常時微動測定を実施し，構造物の固有周期や減衰定数の算定を試みました。常時微動測定の整理結果を図1，図2に示しますが，構造物～地盤全体系の減衰定数hと固有周期Tには，経験則(h=0.04/T,0.02/T)のような反比例の傾向が明瞭には見られず，ばらつきが大きいことがわかりました。一方で，地盤変形の寄与率に相当する構造物上下部の振幅比αと減衰定数hには正の相関が見られました。このことから，構造物全体系の減衰が構造物，地盤それぞれの減衰の重みで決まるというひずみエネルギー比例減衰の考え方と調和的な傾向が得られました。なお，本研究は国土交通省の鉄道技術開発費補助金を受けて実施しました。