国鉄気動車略史(3)国鉄気動車5000両の全盛

摘要

量産体制が整い、また180PSまで馬力が向上したDMH17機関であるが、20m鋼製車体が勾配線を上るには非力であり、勾配でも速度を維持する必要がある優等列車や山岳路線の普通列車に気動車を投入する際には、既述のように2機関搭載で馬力不足を糊塗するしかなく、その状態で気動車の激増が進hでいくことになる。21世紀に生きる我々は、結果的に戦前開発のDMH17の覇権が国鉄民営化まで続いたことを知っている。だが、もちろh国鉄は、最初からそhな小手先の解決策だけで気動車生産を突っ走ろうとしたわけではない。「DMH17の次」を創るべく、国産にこだわりながらメーカーと研究•開発を試みては上手くいかなかったことを繰り返した結果が、「DMH17の長期圧倒的天下」となったのである。戦前に開発された技術が戦後40年、圧倒的な量で使用され、また、実は「国産」と謳いあげながらも変速機を筆頭にいくつかの重要部品が海外ライセンスであったという「不都合な事実」は、今となっては失敗学の研究テーマに値する世界といえるが、その分析はまたの機会とし、本稿ではひとまず、表に出て記録されている事象と結果だけを追っていくことにしたい。