居住者の人的要因・住宅の物的要因と火災被害規模に関する火災統計分析

摘要

建築火災の6割近くを占める住宅火災による被害は、消防および建築行政によるさまざまな施策が実施されているにも関わらず、いっこうに減少の傾向が見られない。この原因のひとつは、「どこに重要な危険が潜んでいるのか、どこを改善すればよいのか」についての情報が、住宅居住者に正しく伝えられていないこと（リスクコミュニケーションツールの不在）にあると考えた。我が国にストックされる全ての住宅を対象に、潜在する火災リスクを高度な工学的方法で計算することは膨大な時間と費用が懸念される。