各種セメントを用いた高強度コンクリートの強度発現性が静弾性係数に及ぼす影響に関する一考察

摘要

普通ボルトランドセメント, 中庸熱ボルトランドセメントおよび 低熱ボルトランドセメントを用いた設計基準強度（Fc）60N/mm~2 程度の高強度コンクリートの強度発現性と静弾性係数の関係を検討 した結果，以下のことが明らかとなった． （1）水中で標準養生を行った高強度コンクリートの静弾性係数は，圧 縮強度が同一であっても，材齢が早期であるはど′トさくなる傾向 にあり，その傾向は低熱ボルトランドセメント，中庸熱ボルトラ ンドセメント，普通ボルトランドセメントの順で顕著に見受けら れた．これは，セメントの種類によって，圧縮強度と静弾性係数 の発現性が異なるためと考えられる． （2）構造計算規準式によって高強度コンクリートの静弾性係数を算 出する場合は，コンクリートが本来持つポテンシャル強度すなわ ち材齢13週のときに行うと，算定値と実測値の関係が成立する傾 向にあった．そのため，これより以前の管理材齢において，圧縮 強度から静弾性係数を算定する場合には，各種セメントを用いた 高強度コンクリートの材齢ごとの補正係数を構造計算規準式に乗 じるという方法も一案として考えられる． 今後は，セメントメーカーごとによる材齢の進行の影響，各種養 生方法の影響，骨材の種類や骨材量の相違が高強度コンクリートの 静弾性係数に及ぼす影響について検討していく予定である．