繰返し複合応力を受けるせん断降伏型鋼梁ウェブの履歴挙動に関する実験

摘要

鋼構造建物の耐震性能は、構成部材の塑性変形能力に基づき評価される。鋼構造建物において主要な構造部材の一つである梁は、地震時にせん断力と曲げモーメントの複合荷重を受ける。一般的な梁では曲げモーメントが支配的となり、ウェブ部分におけるせん断と曲げの複合応力の影響は無視される。都市部に建てられる中低層オフィスビルでは、エレベーターコアと執務スペースで構成される単純なプランが多く、両者を結ぶ廊下を最小限なものとし、その部分にせん断力の影響が大きい比較的スパンの短い梁を用いるケースが見られる。部材の塑性変形能力を正確に評価する上で、部材の履歴挙動に与える複合応力の影響を評価することは重要である。そのためには、素材の履歴特性を反映させた鋼部材の数値解析方法を構築し、曲げとせん断の複合応力の影響を明らかにする必要がある。