棒鋼ダンパーを用いたRC造方立壁の有効活用に関する実験研究

摘要

近年の地震被害調査から鉄筋コンクリート（以下，RC)骨組における非構造壁の損傷被害が報告されている。非構造壁の損傷抑制方法として，構造スリツトにより柱粱架構から切り離す方法が挙げられるが，ラーメン骨組の靭性能に過度に期待して設計した構造物は，大地震時に塑性変形が生じ，残留変形によって継続使用が難しくなる。一方，これまで非構造壁として扱われてきた袖壁などを，柱梁架構と一体にすることで構造抵筠要素として扱い，建物の強度を増加させる検討も近年行われている。RC骨組に剛接された非構造壁は，小変形域で耐カを発揮した後に脆性破壊し，継続使用が困難になる。建物全体の耐カ向上およびエネルギ吸収能力確保という観点からは，構造スリットを設置することが必ずしも得策とは言えないのが現状である。