家庭部門エネルギー需要シミュレーシヨンによる2050年ゼロエミッション実現可能性の検討

摘要

2015年12月、第21回気候変動枠組条約締約国会議（COP21)にて採択されたパリ協定では、今世紀中に温室効果ガスのゼロエミッシヨンを実現し、世界全体の平均気温の上昇を産業革命以前に比ベて2℃より十分低く保つとともに、1.5℃に抑える努力を追求することを目標としている。2018年10月、気候変動に関する政府間パネル（IPCC)が取りまとめた1.5℃の地球温暖化に関する特別報告書（以下、1.5℃特別報告書）"では、現在の傾向のまま気温が上昇すれば2030年から2052年の間に1.5℃に到達する確率が高いこと、気温上昇を1.5℃に抑えるためには、CO_2排出量を2050年までに正味ゼロにする必要があることが報告された。日本においては、2016年5月に閣議決定された地球温暖化対策計画2)において、長期的目標として2050年までに80%の温室効果ガスの排出削減を目指すとしている。さらに、2019年6月にパリ協定に基づく成長戦略としての長期戦略が発表され、「今世紀後半のできるだけ早期に脱炭素社会を実現すること」を挙げている。