CPP1軸1舵船の停止操船における操舵制御について

摘要

操縦運動数学モデルを用いたシミュレーション手法により、風力下のCPP1軸1舵船の停止操船における効果的な操舵制御法と実船の操船への応用について検討した。主要な結論は、次のとおりである。（1）風力下におけるCPP1軸1舵船の停止操船に伴って誘起される回頭運動は、回頭方向が直前の操船履歴に支配されるCPPの特性を利用して、翼角を後進ピッチとする直前に大舵角で操舵を行う操船法により、その方向を制御することが可能と考える。（2）本論文で提案した操船・制御法は、停止操船と同時に回頭運動の制御を行う必要がある風力下の投錨操船に適用できる。この場合、Minimum Ahead Pitchで前進し、まず、風上へ最大舵角の操舵を行い回頭運動が発達した後、翼角をゼロとするStopの操作を行うことなく、直接プロペラを後進とするのがよい。（3）また、この操船・制御法は、港湾域における風力下での衝突回避等、危急時の避航操船にも適用可能で、実海域における港内操船の安全を確保する上で有効と考える。