備讃瀬戸海域における海難実態の基礎的分析

摘要

備讃瀬戸は、関西と本州西部及び四国、九州を結ぶ海上交通の要所で、海上交通安全法（以後、海交法という）で定められた複数の航路が交差、接続している。また、同海域は古くから好漁場を形成し、現在に至るまで様々な漁船漁業が営まれる上、近年の海洋レジャー普及に伴うプレジャーボートの活動も盛んである。このような状況において、様々な船舶が同一海面で競合し、厳しい航行環境を呈している。過去の調査によれば、1994年から1998年までの5年間における全国20狭水道の海難発生件数（以後、海難量という）では備讃瀬戸が最多で、全20狭水道の約34％を占め、また衝突海難量についても最多で、全20狭水道の約39％を占めている。