グラウ卜ホースの伝い水現象と補修技術に関する実験的検討

摘要

主にPC鋼棒による張出し架設を行ったPC箱桁橋において，定着突起やウェブからの漏水を生じる変状事例が顕在化している。この変状はとくに1985年から1995年頃に施工された橋梁を中心に確認されており，施工当時のグラウトホースの配置や張出し床版部の水しみからグラウトホースが関与しているものと推定された。筆者らはその原因の検証のため，供試体を用いた長期暴露試験を行った。実験の結果，漏水は橋面の滞水がグラウトホースの周囲を伝って浸透したものであり，漏水は冬季に発生すること.グラウトホースの配置本数に関わらず発生することを確認した。凍結防止剤を散布する地域では漏水による塩害が懸念されるため，漏水防止のための補修方法について検討した。前記供試体に補修を施し，再度長期の暴露試験を行うことにより，提案した補修方法によって漏水を防止できることを確認した。