スチレン-N-フェニルマレイミド交互共重合体とポリオキシエチレンからなるマルチブロックコポリマーのin situ生成による酸無水物硬化エポキシ樹脂の強靭化

摘要

スチレン-N-フェニルマレイミド交互共重合体（PMS）主鎖骨格にポリオキシエチレン（POE）ユニットを導入したブロックコポリマー（PMSE），およびこの系にジビニルベンゼソ（DVB）を添加してPMSEを架橋させたコポリマー（PMSED）を酸無水物硬化エポキシ樹脂系中にて生成させ，エポキシ樹脂硬化物の曲げ強度などの低下を抑制しての靭性向上を行った．このin situ法による改質樹脂硬化物は改質剤が微粒子として分散した海島型のミクロ相分離構造を有し，POEユニットの導入はPMSEとエポキシマトリックスの界面での相互作用（接着性）の増大に寄与し，硬化物の曲げ強度の低下抑制と靭性向上に有効であった．PMSE17.8wt％添加による改質では，未改質系と比較して曲げ強度の低下を抑制しての破壊靭性値（K_(IC)）の増大（180％）が達成された．PMSED改質硬化物では，PMSEDとマトリックス界面での相互侵入網目の形成による相互作用の増大が観察され，適度な架橋（DVB 0.5mol％）の場合にK_(IC)が増大した．すべての改質系での弾性率やガラス転移温度は未改質系の場合と同程度であった．