新規計測技術を用いた射出成形時の離型力及び摩擦係数の測定

摘要

摩擦係数を測定する装置を射出成形金型に組み込んだ新しい計測手法を開発した．これを用いて静摩擦係数μ_0を計測することにより，金型材質，表面処理，ポリマー材料，成形条件が離型力に及ぼす影響を相対的に検討することができるようになった．ここでは，平板状の成形品を最初に射出成形し，次に一定の垂直抗力を加えた後，金型開閉に必要な型開き力（離型力）を測定する．この時の静rn摩擦係数μ_0は初期の最大摩擦力（成形品が金型から剥離する段階）より計算することができる．rnPP,PC,ABS及びABS-PCアロイを対象に，各種の平板成形品形状，表面粗度の異なるステンレス金型（つや消し仕上げ面，高光沢仕上げ面，鏡面，更にPVDコーティング処理）の影響を検討した．その結果，金型からの離型力と摩擦係数はポリマー材料，金型表面温度，金型表面粗度，更に金型表面へのコーティングの種類（TiN,CrN,TiAlN）によって大きく影響されることが分かった．