磁場中2次元電子系への応用: 量子ホール系の電子状慴

摘要

二次元電子系に垂直磁場を加えると、電子のサイクロトロン運動によりランダウ準位が形成さ れる。その結果、マクロな数の電子の運動エネルギーが同一になり、ランダウ準位が電子によって 完全に満たされた特殊な場合を除いて、基底状態には膨大な縮退が現れる。このマクロな縮退は、 電子間に働くクーロン相互作用によぅて解かれ、多体効果の影響を強く受けた多彩な基底状態が 実現する。 ランダウ準位内のマクロな縮退を解くクーロン相互作用はサイクロトロン運動をしている電子 の中心座標の間に働く有効相互作用として表現することができる。その相互作用の形はサイクロ トロン半径などランダウ準位によって変化する一電子波動関数の形によって決まるため、基底状 態はランダウ準位内の電子の占有率だけでなく、何番日のランダウ準位を電子が占有しているか に依存することになる。