高い紡糸速度を用いた湿式紡糸によるセルロース/1-エチル-3-メチルイミダゾリウム-アセテート溶液からのセルロースファイバー

摘要

セルロースは、地球上で最も豊富な有機資源である。そして、最近、化石資源の有望な代替案とみなされる。しかしながら、強い分子内水素結合および分子間水素結合によるセルロースの熱および溶液加工適性の欠如は、その将来の発展および利用を制限している。1世紀以上にわたって、大変な努力が、セルロースに対する効果的な溶剤の開発に専念してきた。今までに、ビスコース法、銅アンモニア法およびN-メチルモルホリン-N-オキシド(NMMO)法のみが、再生セルロースファイバーを製造しるために工業化されてきた。しかしながら、ビスコース法および銅アンモニア·レーヨン法の両方は、高い毒性の副生廃棄物および汚染物質を製造する。NMMOの不安定性は、高価な溶剤の消費および安全性リスクの危険性をもたらすかも知れない；更に、NMMOからにファイバーは、容易にフイブリル化する。そしてそれは、彼等の利用分野を大いに制限する。従って、新規なクラスの溶剤を開発すべく、セルロース研究組織が開かれた。そしてそれは、Swatloski等が2002にセルロースの溶剤としてイオン液体の使用を報告した。イオン液体は、100℃以下の融点を持つ有機塩のシリーズである。彼等の非揮発性、制御可能な物理特性および安定な化学特性のため、イオン液体は、近年幅広く注目せれている。殆どのイオン液体は、容易に再生できる。そしてそれは、溶剤としての使用に対して適している.。1-ブチル-3-メチルイミダゾリウムクロライド([BMIM]Cl)、1-アルキル-3-メチルイミダゾリウムクロライド、1-エチル-3-メチルイミダゾリウムアセテート([EMIM]Ac)および1-エチル-3-メチルイミダゾリウムりん酸ジエチルの様なNMMOのそれと同様の工程でセルロースを直接溶解出来るイミダゾール環を持つイオン液体の或るものは、証明されている。上記したイミダゾール環を持つイオン液体の内、[EMIM]Acは、比較的低温で、25 wt %までセルロースを溶解することが可能であり、そして、セルロースの溶解および形成工程が高効率であることを示す。クロライドアニオンと比較した場合、[EMIM]Acのアセテートアニオンは、低毒性である。全てのこれらは、[EMIM]Acが再生セルロースファイバーの製造に対して可能性のある溶剤であることが証明されている。ここには、イオン液体中のセルロース溶液の溶解特性およびレオロジー特性の文献に関する多くの報告がある。しかし、紡糸工程に関しては少なく、特に、セルロース/[EMIM]Ac溶液の湿式紡糸工程に関しては、無いに等しい。延伸無しで熱水中への[EMIM]Acからセルロースの湿式紡糸によって、OlssonおよびWestmanは、異なる機械的品質のファイバーを調製し、ポリマーの重合度を増加することによって剛性が、急勾配に増大した。Ingildeevらは、 6wt%[EMIM]Ac中のセルロース溶液から湿式糸方糸したセルロースファイバーは、乾湿式紡糸による[EMIM]Ac又はNMMOからのそれらと比較し他結果、最小のフィブリル化傾向を示した。湿式紡糸でのセルロース/[EMIM]Ac溶液の良好な曳糸性および再生セルロースファイバーの低フィブリル化傾向は、紡糸工程および次に来る製品でNMMOおよび他のイオン液体から異なる[EMIM]Acを作る。そして、再生セルロースファイバーに対して[EMIM]Acの実際的応用への更なる期待へと導く。再生セルロースファイバーは、[EMIM]Acから成功裏に湿式紡糸されるけれども、これらファイバーの機械特性は、満足するものではない。いくつかのチャレンジはあるが、従来の湿式紡糸工程とは異なる本能的な湿式紡糸工程であるかも知れない。ポリアクリルニトリル、ポリビニルクロライドおよびポリビニルアルコールの様な従来の湿式紡糸ファイバーの構造および特性は、凝固浴およびその後の多段延伸工程でその結晶化度および配向を大きく改善することが可能である。しかしながら、このことは、凝固中ではセルロースの強い水素結合の相互作用のためできない。NMMO、 [BMIM]Clおよび[EMIM]Acの様な直接的溶剤からの再生セルロースファイバーの構造および特性は、初期の延伸および凝固段階で主に決定する。その後、ファイバーの構造は、ゴデット間の効果的な延伸を受け付けないでしっかりと固定される。今までのところ、セルロース/[EMIM]Ac溶液から湿式紡糸されたファイバーの構造および特性に及ぼす紡糸速度および凝固浴の状態の影響は、まだ明らかではない。セルロース/[EMIM]Ac溶液の湿式紡糸工程の更なる詳細な研究が、行われる必要がある。この報告では、押し出しおよび延伸速度を高めた場合のセルロース/[EMIM]Ac溶液の湿式紡糸工程に関して実施している。比較のために、凝固状態は、現状のままで変化しなかった。再生セルロースファイバーは、種々の方法でその後、評価された。これ等の結果をベースに、最終のセルロースファイバーの構造おょび特性に及ぼす押し出しおよび延速度の影響が考察された。