レーザ技術を用いた低侵襲手術ロボット

摘要

ここ20年の外科医療における核心の中心技術は，如 何に患者への侵襲（生体へのダメージ）を軽減しつつ治 療目標を達成するかという「低侵襲治療技術の実現」で ある。低侵襲な治療を実現する上で有利に働く機能は「ピ ンポイントな物理的作用」であり，その面で接触による 力学的な負荷を伴わずに微小領域に直接エネルギーを投 入し生体作用を得ることの出来るエネルギーデバイスは 低侵襲治療において必要不可欠な技術である。例えば， 人間は一定の失血により確実に死に至ることから止血は 生命維持における重要な技術であり，外科医療は体を切 開することにより多かれ少なかれ確実に出血を伴うこと から，手術中の出血のコントロールは重要な技術であつ た。古くから存在する止血方法は，血液の流れを阻害し 生体の持つ止血効果を利用する圧迫止血と糸を用いた結 紮による血管遮断による止血が中心であった。しかし20 世紀初頭にクッシングが発案した放電火花による手法か ら始まり現在の電気メスやベッセルシーリングシステム (自動血管閉塞切除装置）に至る電気的止血方法は，圧 迫や結紮という力学的負荷や異物である糸の利用を廃 し，周辺組織の障害を引き起こさず簡便かつ迅速にピン ボイントな止血を実現することが可能となった。