原子核物理用語•キーワード解説

摘要

高速回転する原子核が核分裂を起こす前にどれほど高い角運動量を持ちうるのか、またどれほど大きな変形状態を取り得るのかは原子核物理の未解決で基本的な問題として残っている。それらは高スピン核物理の中心課題として主に欧米を中心とした重イオン加速器施設で精力的に研究が続けられてきた。原子核の高スピン状態に現れる変形構造については1970年代半ばにStrutinskyの処方[1]による殻効果を取り入れた理論計算が進み、超変形状態の出現が予想され[2，3，4,5]、中性子数N=80-86，陽子数Z=64-66の原子核がその候補に挙げられていた。原子核の超変形状態とは長軸と短軸の比が2：1と大きく変形した状態を指す。そのような大きな変形状態の出現は変形殻構造に起因すると考えられている。