ランダム行列模型によるカイラル凝縮相及びタイクオーク凝縮相の記述

摘要

カイラル凝縮とダイクオーク凝縮をオーダーパラメーターとしたランダム行列模型を3フレーバーに拡張し、u,d,s のクオークの質量が等しい場合と、s クオークの質量がu,d クオークの質量に比べて大きい場合について、温度-化学ポテンシャル平面にどのような相が現れるかを調べた。その結果、u,d,s クオークの質量が等しい場合には、低密度側ではカイラル凝縮相が現れ、高密度側ではcolor-flavor locked （CFL）相が現れた。また、クォークの質量を大きくするとカイラル凝縮相からCFL相への相転移線が高密度側にずれるという結果が得られた。s クオークの質量がu,d クオークの質量に比べて大きい場合は、低密度側ではカイラル凝縮相が現れ、密度を人きくしていくとud クオーク対だけが凝縮するダイクォーク凝縮（2SC）相が、さらに高密度にするとCFL相が現れた。