QCD和則における核子のスペクトル関数のベイズ推定

摘要

QCD sum rule による解析はこれまでに多くのハドロンの性質を再現する事に成功してきたが、従来、QCD sum rule を用いて質量スペクトルを解析する際にはスペクトル関数の形を“pole+continuum”と仮定して行う必要があったが、最近、ベイズ推定に基づいたmaximum entropy method（MEM）を用いることで、スペクトル関数の形を仮定せずに解析を行う手法が作られた［1］。本研究は、この新しい手法を用いて核子の質量スペクトルの解析を行ったものである［2］。研究の結果、この手法が核子に対して適用叶能である事を確認し、通常核子の解析に用いられてきたQCD sum rule の一種であるBorel sum rule よりもGaussian sum rule の方が解析に適していることを発見した。また、pole の存在を仮定しない利点を活かして核子の二つの独立なinter polating field と状態との結合の仕方について調べた。更に、得られたpoleが正、負パリティどちらの状態に対応しているかを調べるためにパリティ射影を用いた解析も行った。