シミュレーションによる香り付き看板広告の有効性に関する検討

摘要

映像表示装置の大画面・薄型化技術の進歩に伴って，電子看板（ディジタルサイネージ）が普及し つつある．しかし，高価であるため，付加価値を高める努力が必要である．我々は，香り提示を組み合わせることによって誘目性を高め，記憶に残りやすいシステムを目指している．しかし，香り付き看板広告の有効性について，実際の公衆の場で評価するには制約が多い・そこで，没入型バーチャルリアリティ装置（HoloStage）を用いて，通路に看板が並んで設けられたバーチャルタウンを制作し，この中を歩行する環境で，看板から香りが放出された場合の心理的影響を被験者実験により評価した．看板広告では通行人が当該者枚を注視すること，また，当該記憶が次の場所において人の行動に影響を及ぼすことが期待される．そこで，香りの提示が看板注視時間に与える影響について調査した．また，香り付き看板の記憶への影響を調べるためにプライミング課題による想起実験を行った．更に，画像に香りが付加される際の生体反応について調査した．その結果，先行刺激として提示 される商品画像は，香りを伴った場合，その種類が記憶に残りやすく，後続刺激として提示される同種商品画像や当該商品を扱う店舗への誘目性や想起に有効なことを明らかにした．