21世紀の生産革新を先取り

摘要

最終回は、石山修武氏の代表作の一つ、幻庵を訪ねた。外観の強烈な印象は、設計者の狙いを読み取ろうとする我々を翻弄する。だが、内部に足を踏み入れて分かった。幻庵は大量生産品を用いながらも、建築が本来持つべき個別性をいかにして回復し得るかを暗示している。21世紀の工業生産が迫られるパラダイムシフト(価値観の革新)を先取りした名作だ。