まず帆より始めよ

摘要

ケニアでは農村地域のほとんどに電気が届いていない。張れた夜空には無数の塁が散り、その光がパールのようなやわらかな白色であたり一帯を覆う。これが外灯がわりだ。 　ただ、そんな美しさに喜んでいられるのは都市から来た来訪者だけで、そこに住む人々はランプのほのかな灯りで闇をしのぐ。地球温暖化交渉でアフリカの代表者たちが、自分たちのエネルギー消費が圧倒的に少なく、温暖化をもたらす原因にほとんど責任がないのに、悪影響だけ被っていると被害者意識を示すのもうなずける。 　ところがここ1、2年、農村の夜につきものだった漆黒の闇に、ちょっぴり変化が表れている。ソーラーの活用だ。木柱・トタン屋根がその重さを支えられるよう、両手で抱えられるくらいの小さなパネルで、日没後の2、3時間明かりを灯すのが精いっぱいだが、いったん設置すれば維持費はほとんどかからない。数の上ではまだわずかだが、都市化から置き去りにされたかのように見える農村だからこそ歓迎された生活の知恵と二二口ってよい。