地球の営み，動く素材を読む建築

摘要

弥山は宮島のおよそ中央部にある標高535mの山で，古くは平安時代に空海が開山して，真言密教の修験道場となったと伝えられています.山頂付近から山麓にかけて大聖院の堂宇がたくさんあり，裾野には厳島神社，さらに山頂から麓の斎場に神を招ぎ降ろす祭祀が行なわれた磐座と推測される岩塊群があり,信仰の山として古くから参拝者が絶えない場所でもあります.山頂にはもともと展望台がありましたが老朽化がひどく，広島県海の道プロジェクトによる2010年に行われたコンペで，私たちの案が選ばれて建て替えが進められたのです.