成田国際空港 第3旅客ターミナルビル

摘要

成田国際空港は，いわば未完の建築である.国際関係•経済状況•テロ•航空会社の戦略など，さまざまなファクターから影響を受け，常に新陳代謝や拡張を繰り返してし、るからである.そして近年，空港にはLCC(Low Cost Carrier)の拠点化に呼応した新ターミナルの建設，シャトル廃止による200m超のコンコース化，搭乗ゲートの延伸，震災後の法改正による大規模天井の強化など，交流人口のダイナミズムを受け入れる器として，新たな展開が始まりつつある.国内外の空港間競争が激化する今，切れ味の鈍化したジエネリツクな空港建築を超え，形の美しさだけではない唯一無二の体験をちたらす戦略的なデザインと仕掛けが求められているのである.「成田空港は空の玄関である」.新鮮味をなくしたこの言葉に新たな息吹をもたらすことができれば，20世紀に生まれた空港建築は，21世紀にその姿を大きく変えることになる.