加川広重 巨大絵画が繋ぐ東北と神戸 2015

摘要

1995年の阪神•淡路大震災から20年が経週した.被災した神戸の街はどのような復興の道を歩んできたのか.この街に住む筆者の実感として，街は整理され，合理的な構造があらわになった.しかし震災以前の記憶や歴史，その場所の持つ背景を実感することは難しくなった.被災を免れた地域でさえ同様に街をつくり続け，震災以前の記憶は美しく塗り替えられ場所の持つ意味が希薄になっているように思う.そんな震災後20年という節目を迎える神戸において,東北在住の画家，加川広重の原発事故をテーマとした巨大絵画が展示された.それに伴い当時の記憶を呼び起こし，被災地への思いの共有を趣旨としたシンポジウム，展示などが島田陽らの企画協力のちと行われた.11日の五十嵐太郎，宮本佳明，山内宏泰,槻橋修らによるシンポジウムでは，震災をどう記憶するかがテーマとなった.その後もさまざまな企画/公演が行われた.